東京大学史料編纂所

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彦根市井伊家史料調査・撮影

 一九七一年五月十日から十三日まで、彦根市において、彦根城内の開国記念館と、井伊直愛氏宅(彦根市松原町五一五)の二ヶ所の井伊家史料の調査と撮影をおこなった。一九六七年十一月の前回調査(本所報第三号、七八頁参照)に継続するもので、「大日本維新史料井伊家史料」の刊行の進行に対応させて、現地史料の全般的な検討と、前回の撮影作業の継続をおこなった。なお、井伊家から開国記念館の倉庫に移されたまま未整理であったぼう大な「城使寄合留帳」・「侍中由緒帳」をはじめとする日記・留帳の類、ならびに多数の奉書、将軍家御内書、書付類は、別室の書棚に排架され、本格的な整理が開始されていた。
 撮影作業は、開国記念館において、「明治四年調 彦根藩戸籍簿」のうち、前回残りの第四区より第四十区まで二八冊と区番号不明三冊との計三一冊を済ませ、全冊の撮影を完了した。
 井伊氏宅においては、高橋敬吉氏の筆写原稿「井伊家書状写」のうち、安政五年七月分の二冊、八月分の三冊、及び九月分の四冊(第四冊目は中途でフイルム終了)を撮影、井伊家史料の編纂刊行の参考にすることとした。
 また、井伊家にて、国宝彦根屏風(六曲)を見学し、城内の井伊美術館では、公用人宇津木六之丞の公用日記「公用方秘録」の原本等、多数の展示史料も見学した。(稲垣敏子・小野正雄・河内八郎・高沢実)


『東京大学史料編纂所報』第7号p.69